プロ野球選手にとって怪我はつきもの。近年は「トミージョン手術」という手術を受ける選手が多くいますよね。
今回はトミージョン手術とはいったいどんなものなのか、改めて紹介します。
トミージョン手術とは
トミージョン手術とは「側副靭帯再建術」のことで、肘の腱や靭帯の損傷、断裂に対する手術です。
損傷した腱や靭帯を切除し、患者の長掌筋などから正常な腱の一部を摘出、これを上腕骨と尺骨に作った孔の中に通して両端を引っ張った状態で固定することで患部の修復を図るという手術なんですね。
投球の際に肘の側副靭帯に大きな負担がかかる投手が受けることの多い手術です。「トミージョン手術」という名前も、世界で初めてこの手術を受けた元メジャーリーガー、「トミー・ジョン」ことトマス・エドワード・ジョン・ジュニア選手にちなんだものです。
トミージョン手術にかかる費用は?
トミージョン手術はどれくらいの費用で受けることができるのでしょうか。スポーツに縁のない身だと少し想像もつかないですよね。
日本でトミージョン手術を受けるとなると、手術費や入院費を合わせて60万円から70万円になるそうです。ただ、保険が適用されるため、実際の支払額は10万円から20万円になるんですって。
トミージョン手術を受けてから復帰まではどれだけかかる?
トミージョン手術を受けた後は、移植した腱が靭帯として患部に定着するまでに時間がかかるため、長期にわたるリハビリを行う必要があります。
ひじの可動域を元に戻すトレーニングを約2ヶ月。その後ウェイトトレーニングなどを行い、通常の運動ができるまでに回復したと判断されると投球を再開できますが、ここまでの回復にも約7ヶ月かかるそうです。
実戦復帰には12ヶ月から15ヶ月かかると言われています。シーズン中にトミージョン手術を受けると基本的に今季絶望、来シーズンの復帰を目指すことになるのですね。
実戦復帰後もすぐには完全復活とはならない
福岡ソフトバンクホークスでプレーし、2017年4月にトミー・ジョン手術を受けたロベルト・スアレス選手は2018年8月に一軍復帰、しかし2018年、2019年と成績が振るわず戦力外となっています。
そこを阪神タイガースが獲得し、一転復活を果たし2020年、2021年のセーブ王を獲得。現在はメジャーリーグでプレーするに至ったのですが、タイガースのスアレス選手獲得理由は「スアレス選手が術後三年目だった」ことにありました。
過去にタイガースで活躍した藤川球児選手もトミージョン手術から三年ほどで完全復活を果たしており、その経験から獲得に至ったのですね。
トミージョン手術を受けた選手
トミージョン手術を受けた選手の例は枚挙に暇がありません。2007年に日本で受けた五十嵐亮太選手はその後メジャーでもプレー、術後現役を10年以上にわたって続けました。
ダルビッシュ有選手、松坂大輔選手、和田毅選手などのメジャーリーガーもトミージョン手術を受けて復活を果たしており、こういった一流選手の復活の事例が多いこともトミージョン手術が野球界でメジャーとなっている理由でしょう。
大谷翔平選手も2018年にトミージョン手術を受けていますよ。近年では前田健太選手が2021年にトミージョン手術を受けています。
阪神期待のルーキーもトミージョン手術を受けることに
虎風荘 現在の入寮者である2023年ドラフトのタイガースドラ1、下村海翔選手も2024年4月にトミージョン手術を受けました。即戦力として期待されながら、早くも今季絶望となる波乱の出だし。落胆するタイガースファンも少なくありません。
それでもプロ野球OBの中では「手術は早いに越したことはない」と、早めの決断を支持する声が多いです。数年後にチームの柱となるために、下村海翔選手にはまずはリハビリを頑張ってほしいですね。
トミー・ジョン手術決断 気になる阪神ドラ1・下村海翔の復帰時期 「復帰は2年後」と言われ引退決断した投手も 「指の曲げ伸ばし」から始まる地道なリハビリ(高校野球ドットコム) – Yahoo!ニュース
最後に
今回はトミー・ジョン手術について紹介しました。
復帰まで一年から二年かかると言われているトミー・ジョン手術。ですが、手術を受けたのが野手の場合はもう少し早く復帰できる傾向にあるようですよ。